Dr.ハンセン手術見学日記 (1)

  7月 13日
7月16日の日記(http://d.hatena.ne.jp/tyuzo/20070716#p1)参照。


  7月 20日
今日Dr.ハンセンの手術を受けるというマリアというおばさんに手術を受けている姿を写真に撮ってほしいと頼まれた。彼女にカメラを渡され、僕のカメラでも撮ってほしいと頼まれ、こころよく引き受けた。

最初の2人の患者はDr.ハンセンが目の辺りをチェックして、脇に寄せられ後回しにされたようだった。3人目の患者の手術は背骨に沿って針をそんなに多くない数刺すだけですぐに終わった。

その次がマリアおばさんの番になったので、写真を撮るために前に行った。

彼女の手術も背骨に沿って針を刺すというものだった。Dr.ハンセンは他の患者と同様に服の上から一寸の迷いもなく針を刺していく。何枚か写真を撮っているとザヒーア(Dr.ネルソンの奥さん。手術の助手を務めている)がもっと近くにきてよいと手招きをしてくれたので柵の中に入り、マリアおばさんの頭の近くに立ちさらに写真を撮った。

彼女の手術は針だけじゃなくてメスも使っていた。Dr.ハンセンは手術用のメスを彼女の背中に一見無造作に突き刺し、手を離してまた別の針を刺し始めた。その間メスは彼女の背中に突き刺さったままだった。その時は写真を撮ることに夢中だったから気付かなかったけど、後でよく考えてみたら麻酔もしてないのに痛くないんだろうか? 1〜2cmの深さで背中にメスが突き刺さっているというのにマリアおばさんはうめき声すらあげてなかった。

手術が終わってから彼女に背中にメスが突き刺さっている写真を見せて「この時痛くなかったの?」と聞くと「全然痛くなかった」と答えた。

マリアおばさんの手術の後に、最初に脇に寄せられていた2人の患者の目の手術があった。どちらの手術も似ていて、目の白目の表面の膜だか筋かだをピンセットとハサミを使って取り除くというものだった。いつものように麻酔もなしに手術をし、患者の目からは血が流れていた。1人の患者は最後にDr.ハンセンに指を目の中に入れられ、少しの間こすられていた。

その後のいくつか(3〜4つ)の治療は針も何も用いず、ザヒーアとDr.ハンセンが患者に手を当てるだけというものだった。特にすごかったのは、Dr.ハンセンがザヒーアの後ろに立ちザヒーアの頭に手を当ててザヒーアにエネルギーを与えるような形を取り、ザヒーアが患者の上に手を滑らせ体を激しく揺さぶらせ「しゅるる〜、しゅるる〜」と音を立てていた手当てだ。まるでDr.ハンセンがザヒーアを操っているようで、ザヒーアの体を通して患者にエネルギーを送っているようだった。ザヒーア、かっこよかった。

マリアおばさんの手術の後もずっと近くで手術を見ていたらDr.ハンセンが手術と手術の合間に握手をしてくれた。


  7月 27日
今週の月曜日に手術を受け、まだ抜糸も済んでいなかったので手術を見させてもらえなかった。


  8月 3日
今日の手術は少なめで5件ぐらいで、手を当てるだけ(湿ったガーゼも当てる)の治療も5件ぐらいで、公開手術は16:00〜17:30ぐらいで終わった。

手術は体に針を刺すだけのもの。Dr.ハンセンはいつものようによどみない動きで患者の体に針を刺していく。針を一本一本Dr.ハンセンに手渡すザヒーア、針の束をザヒーアに手渡すザヒーアの娘さんとのコンビネーションも抜群だ。バックに流れている音楽を楽しみ、時折りザヒーアと談笑したりしながら手術をする姿は優雅さすら感じさせる。

手術を見ていたときに2つ隣の席にいたコンセイソンが突然声をあげて泣き出した。それを見ていた隣の席のバイアーナが誰かを呼びに行った。どうしたんだ突然、まるで何かにとりつかれたみたいだなと思った。はっ、とりつかれたのか? そばに行ってなぐさめてあげようかと思ったけどもし悪い霊に取り付かれているとしたら僕には何もできないと思いだまって見ていた。バイアーナが女の人を連れて戻ってきて、その人がコンセイソンに手を合わせて拝んでいるうちに彼女は泣きやみ落ち着きを取り戻した。

おいおい、頼むよDr.ハンセン。コンセイソンにも注意を払っていてくれよ、と思った。