チベットに行くためにチベット医学

herbal medicines, Nepal


腰が痛くなった。


僕は特に腰痛もちという意識はないんだけど、以前にも痛くなったことはある。前回はブラジルにいた時。弓場農場で慣れない農作業を手伝っていたら痛くなった(情けない…)んだけど、その時は弓場農場の人にマッサージしてもらって安静にしていたら治った。

今回もポカラでゆっくりしてたら治るだろうと思ってたんだけど、これがなかなか治らない。カトマンズに戻る時、本をたくさん持ってきてもらったら20kgに膨れ上がったバックパックを自分で持つことができず、ちちぞう(孫あり)に持ってもらわなければならなかった程である。

これはピンチだ。自分のバックパックを自分で持ち運ぶことができないなんてバックパッカー失格どころか、旅を続けられない。特にこれから先、フンザから標高4730mのフンジェラブ峠を越えて中国に入り、ヒッチハイクをまじえながら西チベットカイラスに行き、カイラス山のまわりの巡礼路(1周52km)を歩いてまわり、またヒッチハイクをまじえてラサに行くという、避けることができるならつらい道は避けてきた僕にとって、最後にして最大の難所をむかえるというのに、大ピンチではないか。


もしDr.ハンセンを手伝っている霊が僕についていてくれるとしたら何とかしてくんないかな、と思い「Dr.ハンセ〜ン、腰が痛いよ〜。何とかしてくれ〜」と念じてみたけど、その想いは通じず。やっぱ霊は僕の体の状態を見にきただけで、すぐに帰ってしまったんだろうか。


ともかく何とかせねばと思い、カトマンズのクンフェン・チベット医学センター(Kunphen Tibetan Medical Centre)に、風邪の初期症状に似た体調不良を訴えるママぞうと一緒に行ってみた。

僕は中学ぐらいのときに捻挫で整骨院に通ったことがあるぐらいで、東洋医学のお医者さんにかかるのは全くの初めてである。

ベッドに寝かされ、腰をひねられ、「これは痛いですか?」「あいっ、痛いです」「じゃあこれは?」っていう診察を想像してたんだけど、そこでの診察は簡単な問診と脈診だけであった。まず「今日はどうしました?」ときかれ、「腰が痛いです」というと、先生は、じゃ、見てみましょうといった感じで、僕の右手首に人差し指、中指、薬指の3本の指をあてて、真剣な目つきで脈を診はじめた。目線は僕の手首を見るわけではなくて、どこか中空の一点を見つめ、ずっと動かなかった。右の脈を診終わると次は左手の脈も診て、「いつごろから痛いですか?」ときき、「1週間ぐらい前からです。1年ぐらい前にも痛くなったことがあります」と僕が答えると、ふむとうなづき、紙にすらすら処方箋を書き、「にんにく、じゃがいも、コーヒー、アルコール類、甘いもの、冷たい飲み物を控え目にし、水をたくさん飲むようにし、腰を冷やさないようにしなさい」と言って、診察終了。

ママぞうの診察も似たような感じで、あっという間に終わってしまった。脈を診ただけで何でもわかってしまうなんてちょっとアメイジングである。

出してもらった薬は漢方薬を4種類(写真)、なんと2か月分*1だった。2か月分も薬を出されるってことは、1週間ぐらいその薬を飲んだところで症状が劇的に回復することは期待できないだろうけど、すくなくとも自分で自分の荷物を持てるぐらいには回復することを願うばかりである。

*1:最初6ヶ月分って書いたけど、2ヶ月分の間違いでした。