フランクフルト14時間

砂漠ツアーで一緒になったイギリス人のカップル、ジェームスとハンナから以下のようなメールが20枚の写真付きできた。

Hello Everyone!


I hope you are all well, and that you enjoyed / are still enjoying your trips. As promised here are some pictures from our mountain, gorge and desert extravaganza! It was great to meet you all. If any of you non-Londoners find yourselves in London and need a guide, just shout!


James and Hannah
x


フランクフルトでのトランジットが14時間だと聞かされたのは、カサブランカの旅行代理店にお金を払ってチケットを受け取る時だった。それを先に言えよと思ったが、先に言われてたとしても同じチケットを買っただろうと思う。


トランジットの時間を潰すために冒頭のジェームスとハンナからのメールをネタに何か文章をひねり出してみようかと思う。構想1時間。書き上げるのに2時間。あー疲れたとひと休みしつつ書いたものを読み直し、加筆・修正などに2時間。計5時間ぐらい時間が潰れるといいな。


僕を載せた飛行機がカサブランカを飛び立ったのは深夜の1:00。フライト時間は約3時間半。フランクフルトに着いたのはモロッコ時間で4:30だったが、モロッコとドイツの時差は2時間あるのでドイツ時間では6:30だった。時計の針を2時間進めたので短い夜となった。


逆にスペインからモロッコに船で渡った時は時計の針を2時間戻した。その時同じフェリーに乗り合わせていたギリシャ人のアンはそのことを'We win 2 hours'と言った。時計の針を2時間戻すことによってその日は26時間の長さとなり、2時間得をした(勝ち取った)というわけだ。なるほどと思った。彼女も英語のネイティブではないので、その表現が正しいかどうか僕にはわからない。もしかしたら彼女は'lose'(失う、負ける)の対義語として'win'を選んだだけかもしれない。でもその表現は僕にはわかりやすいものだった。ネイティブでないもの同士が英語で話す場合、その表現が正しいか正しくないかよりも、わかりやすいかわかりやすくないか、伝わるか伝わらないかの方が重要だと思う。


たまに「この表現を覚えてネイティブをあっと驚かせてあげましょう」というようなことを謳った英語の教材やらメルマガやらを目にすることがあるが、僕はそういったものには目もくれずにいた。そんなネイティブを驚かせるような凝った表現を覚えたところで、それがネイティブ以外に通じないんじゃ意味がないと思うからだ。


もしかしたらこの伝わればいいんじゃんっていう考えこそが僕の英語を万年中級レベルに押しとどめている原因かもしれないが、ここでは置いておこう。


僕は英語を母国語または公用語としている国を旅行した経験がそれ以外の国に比べて極端に少ないからこういう考えを持つに至ったんだと思う。


ところがだ、ジェームス。冒頭のメールに戻る。僕は君のメールの

If any of you non-Londoners find yourselves in London and need a guide, just shout!

という表現がとても粋だと感じてしまったよ。要は「ロンドンに来たら案内するから連絡くれよ」ってことが言いたいだけなのになんで'find yourselves in London'とか回りくどい言い方をするんだい? 'If you come to London, tell me'じゃダメなのか? と思いつつも自分がある朝起きたら突然ロンドンにいて、そこがどうやらロンドンらしいってことはわかるんだけど右も左もわからなくて、そこでふとこのメールを思い出し、ロンドンの中心で「ジェームス!」と叫ぶ姿を想像してちょっぴり楽しくなったよ。


こういうのは英語と共に生きてきた人間じゃないとできない表現だと思ったよ。そして英語ももっと突き詰めていけばきっとおもしろいんだろうとも。



4時間半経過。だいぶ時間を潰せたな。まだ少し時間があるから冒頭のメールを和訳して終わりにしよう。

みなさんこんにちは!


みんな元気で旅を楽しんだか、もしくはまだ旅を楽しんでる最中だったりするといいね。約束通りみんなで行った山、峡谷、そして砂漠でのエクストラヴァガンツァ!の写真を送ります。みんなと会えて楽しかったよ。ロンドン非在住者諸君、何かのはずみでロンドンにきて、案内が必要だったら呼んでくれよな。


ジェームス&ハンナ


(うーん、'extravaganza'が訳せんかった。。。)