オーパ
- 作者: 開高健,高橋昇
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 1981/03/20
- メディア: 文庫
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一時間、幸わせになりたかったら
酒を飲みなさい。
三日間、幸わせになりたかったら
結婚しなさい。
八日間、幸わせになりたかったら
豚を殺して食べなさい。
永遠に、幸わせになりたかったら
釣りを覚えなさい。
−−中国古諺−−
という引用がされていると聞いて読みたくなった一冊。
何かの事情があって
野外へ出られない人、
海外へいけない人、
鳥獣虫魚の話の好きな人、
人間や議論に絶望した人、
雨の日の釣師……
すべて
書斎にいるときの
私に似た人たちのために。
という書き出しで始まる。
僕はこれのどれにもあてはまらないが楽しく読めた。
著者が”蛇足”と称したあとがきで
釣竿を手にした旅だと、ただの旅では見えないもの、見られないものが、じつにしばしば、見えてくるものである。
と述べているが、そういう旅が少しうらやましい。今まで楽器を手にして旅をしている人や、カメラマンで自分の作品を撮りながら旅をしている人、マリファナおたくで世界中のマリファナを吸うために旅をしている人等に出会ったが、同様にうらやましい。
僕のように「趣味は何ですか?」と聞かれて、「旅行です」と答えていたような人間は、こうして旅行にきてしまうと、旅行以外にやることがなくて困る。ただぼーっとして、色んな妄想を膨らませるばかりだ。
この本を読んだらアマゾンにどうしても行きたくなり、南米に逆戻りするハメになるんじゃないかと少し心配していたが、それはなかった。昭和52年に開高健が釣竿を片手に見たアマゾンを、今僕が行っても見ることができないことが、不思議とはっきりとわかってしまったからだと思う。僕でも到達可能な表面だけ、今のアマゾンを見たいかというと、時間とお金の兼合いから、「ノー」ということなんだと思う。