火葬場 Incredible !ndia (2)

ガートづたいにガンガー沿いを歩いていると火葬場があわられた。何体かの遺体が薪で焼かれている最中で、一体の遺体がガンガーの水に浸されている最中で、一体の遺体が薪に積まれている最中だった。積まれている最中の遺体には親族と思われる人が集まっていた。何人かの女の人が声をあげて泣いていた。しばらく見ているとそのうちのひとりが卒倒した。つまり、泣いていた女の人のひとりが突然音も無く真後ろに倒れた。すぐ後ろにいた人が抱きかかえたので大事には至らなかった。

遺体を焼く作業をしているのはまだ13〜14歳ぐらいの少年に見える。パタパタパタと羽織っていた布を使って、手慣れた身のこなしで火をあおっている。その合間、合間に仲間とふざけあっている。悲しみにくれる親族がいても関係ないらしい。仕事は仕事、それさえやっていればいいようだ。ひとつの遺体がだいぶ焼け進み、被せてあった布が焼け落ち、足の指の形があらわになった。少年は竹の棒でその足を持ち上げ、火の真ん中の方に押し込んだ。

風向きによって肉が焼ける匂いが鼻につく。時刻は夕刻。ここに長くいると夕食を食べられなくなってしまう、と思いつつも何故かそこを離れられない。ほんのちょっと上流に目を移すと、2人の男が、洗濯のついでに水浴びか、水浴びのついでに洗濯か、そのどちらにも取れる日々の営みを行ってた。焼いた後の遺灰が河に流されるその火葬場からわずか数メートルの所で。