エチオピア日記 Life goes on in Ethiopia (2)

店先に肉をぶら下げ、奥にテーブルとイスが並んでいる、肉屋兼レストランといった感じの店に昼食を食べに入った。店主らしき男に「何が食べられる?」ときくと「ミートだ」という答えが返ってきた。いくつか選択肢を与えて欲しかったが、まあいっかと思い「じゃあミートをくれ」と頼んだら、麻婆豆腐のタレを思わせるやや赤みがかった辛いタレにまぶされた肉と、辛くないスープで煮込まれた肉がそれぞれ小皿に盛られ、黄色に色づけされたご飯と一緒に出てきた。味はまずまず。特に麻婆豆腐風のタレが、石垣島のらー油を思い出させる味でおいしかった。

値段もそんなに高くなかったので、夜も同じ店に行った。店主らしき男に「ミートか?」ときかれたので、どうせそれしかないんでしょと思いつつ「イエス、ミートだ。でも今度はパンにしてくれ」と頼み一応値段をきいたら昼より2Birr高かった。あれ、パンは高いのかなと思ったが、まあいっかと思い、そのまま頼むことにした。しばらくすると、七輪と皿を一体にしたような小さな器具に、細かく切った肉を載せたものが、ジュージューという音とともに運ばれてきた。何だこりゃー。昼のと全然違う。肉はもうすでにカリカリに焼かれていて、香ばしくてパンに合う。七輪には炭が赤々とくべられているので肉は常に熱々だ。これなら昼のより値段が高いのも納得だ。どうやらここの店主らしき男の「ミート」という言葉は「ミート、(おまかせで)」という風にあとに言葉が省略されていたらしい。明日は何が出てくるか楽しみだ。


食事を続けていると突然店の中にやぎの群れがやってきて、テーブルとテーブルの間を店の奥に向かって駆け抜けていった。最後尾から一人の少年が現れ、最後尾のやぎを蹴っ飛ばし、全てのやぎが店の奥に消えると、店内は何事もなかったようになった。いや、やぎがテーブルの間を通り抜けている最中でも店内の客は何事もないかのように食事を続けていた。