夏の闇

夏の闇 (新潮文庫)

夏の闇 (新潮文庫)

名のない憂鬱が薄い汚水のようにひろがりかけている。それは私からにじみだしてあたりに漂い、早くも足を這いあがって腰までを浸している。”愛”という言葉を聞くたびにおぼえる、とらえようのない当惑と居心地悪さが憂鬱にまじってゆっくりとうごいている。この言葉を耳にするたびに私は痛切と朦朧を同時におぼえてしまってぼんやりとなる。


南アフリカ行きの飛行機の中でミッション・インポッシブル3を観た。
「愛してる」なんて真顔で言えるトム・クルーズがたまにうらやましくなる。