28歳を迎えたにあたって

26歳の終わりに旅立ちを決意して、27歳の誕生日を迎えた約1ヶ月後に旅に出た。27歳は激動、そして"激"移動の年だった。

仕事を辞めて旅に出るという決断は自分にとって大きなものだったんだが、今思えばとても小さなことのように思える。日本に戻った後再び仕事はみつかるのだろうか、みつかったとしても給料は前よりも低くなるのではないかとか、そんなことを心配していたが、いざ旅に出てみると、女房子供がいようとも、父ちゃん定職についてなくたって、家族全員毎日笑って暮らしている人々がたくさんいるということに気付く。女房子供すらいない自分が仕事を辞め1年や2年ふらふらするのに何をそんなに考えなくてはいけなかったのだろうと思う。

世界を約半周まわって今、28歳。「20代は走り続けなくてはならない。30代で高く遠くへ跳ぶために」というカントクさんの言葉を思い出す。僕は27歳になってようやく走り出すことができた気がするが、踏み切り板がどこにあって、どっちの方向に跳べばいいのかいまだよくわからない。そのうちに別に高く遠くへ跳ばなくたっていいのではないかという気がしてきた。走り疲れたら歩いたっていいし、時にはスキップでもしながら、悠々とどこまでも駆けていく方が楽しいのではないかという気がしてきた。

しばらくの間思い切り走って高く跳べたとして、あとはそのままずっとそこにぷかぷか浮いていられるならいいが、一度高く跳び上がったら最後、そこから落っこちないように何かにしがみついて生きていかなきゃならなくなるのではないかという気がしてきた。


さて28歳。もう少し旅を続けます。