スペインのカンペールにて

5ユーロ節約できるなら、荷物を持っていても30分歩くし、30ユーロ節約できるなら、1晩ぐらい空港で寝る。バックパッカーなんてそんなもんだと思うし、僕もそうしてきた。


元来僕は買い物が好きな方なんだけど、この旅では、お土産らしいお土産はほとんど買っていない。荷物が増えるのは困るし、お金を節約するためだ。唯一、欲しいと思ったものをその場で、欲しいだけ買えるものといったら、絵葉書ぐらいなものだ。絵葉書は自分でいいと思ったものしか買わないし、同じものは2枚と買わない。つまり、みなさまに送っている絵葉書はオンリー・ワンなんです。


そういう話しをしたかったんじゃなくて、スペイン、マドリッドカンペールでの話し。少しでも長く、色々なものを見るために、こうしていちおう旅費を切り詰めて旅をしているつもりの僕ですが、これはもう完全な衝動買い。95ユーロのスニーカーを買ってしまった。何というか、その、一目惚れってやつだ。昔カタログで見て同じく一目惚れしてどうしても欲しいと思って勢い勇んで行ったカンペールの店で、このモデルは日本には入荷しませんと言われた苦い思い出も手伝ってか、ついつい買ってしまった。

僕が服やアクセサリー等、身につけるもので好きなのは”普通だけど普通じゃない”もの。奇をてらったものではなくて、一見普通のデザインなんだけど、よく見るとディテールが凝っていたり、異常なぐらいに素材や着心地がよかったりと、どこか普通じゃない部分を持ったものが好きなんだけど、衝動買いしたこのスニーカーもまさに”普通だけど普通じゃない”一品だ。

デザインはごくオーソドックスなテニスシューズタイプ。アディダスのスタンスミスのような形で色は黒。と、ここまでは普通なんだけど、靴のソウルが鮮やかな黄色なのだ。この色使いがカンペールっぽい。電車のイスに座ってさりげなく足を組んだときにチラっと見えるこの鮮やかな黄色。やや急ぎ足で歩く後姿にチラっ、チラっと点滅する黄色いソウル。想像するだけどうっとりしちゃうような靴だ。


この靴はもうすでに日本に発送済み。何かひとつぐらい日本に帰るのが楽しみになるようなものを用意しておくのも悪くないんじゃないかと、自分を納得させている今日この頃。