そいう僕も

ジーンズの話の続きです。
http://d.hatena.ne.jp/tyuzo/20050921#p2


実は僕もジーンズを自分で履き込み色落ちを楽しむということをしていました。
学生時代にそのことについて書いた文章が出てきたので載せてみます。

去年の夏休み中の話なの。あんまり洗ってなかったジーンズを壁に掛けたまま約一ヶ月家を空けたの。その間実家に帰ったり何だのして、久しぶりに家に戻ってきたの。部屋に入ると自然と壁に掛けてあるジーンズが目に入るの。「ただいまドゥニウムちゃん」なんて声をかけながらジーンズをめくってみると一面カビが生えてたの。
のののののの。NO!!!!!!


良い色落ちをしたヴィンテージ・ジーンズはもちろん魅力的だし、高いお金を出す価値は十分にあると思う。でもジーンズの楽しみは何といっても”ジーンズを育てる”ことにある。そりゃ何十万だか何百万だかするデッドストックの501XXを買って自分の色に染めてみたいけどそんな余裕はない。だからレプリカジーンズ。幸いなことに最近のヴィンテージ・レプリカジーンズは当時のジーンズを忠実に再現しており、そんなに高くない値段で手に入る。


ジーンズを育てる”といっても特別なことは何もしない。ただ毎日ひたすら履きつづけるだけだ。しかし僕がジーンズを育てるに当たって一貫して守ってきたことがある。それは、手を洗った後必ずその手をジーンズで拭くということだ。勘違いしてほしくないが、これはハンカチを持ち歩かない男の言い訳ではない。また、初めてちゃんとしたジーンズを買った頃は早く色落ちさせたくっていろんなことをした。ジーンズと一緒にお風呂に入ってバスタブの中でごしごししてみたり、部屋の端から端まで匍匐前進で進んでみたり、最終手段としてはひざの部分を紙やすりでこすってみたりもした。しかし、そんな努力の結果不自然に色落ちしたジーンズは僕を後悔させた。「理想の色落ちとは。」 そのような失敗談を含め、僕が出した答えは結局何もしないということだ。そう、ただ毎日ひたすら履きつづけるだけ。一日一日の変化は微妙なんだけど、心配しなくても着実に色は落ちていっている。股の付け根に放射線状に現れる“ヒゲ”も、数が月単位で見てみると確実に育っている。ジーンズを壁に掛けてその“ヒゲ”の育ち具合を見るのが至福の時だ。我が子の成長を見守る母親のような心持ちになれる。


この“ヒゲ”を育てるために僕はあまりジーンズを洗わないようにしてるんだけど、夏場は気をつけたほうがいい。


(1999/6/19)