アミメキリン

ラム島の対岸からのバスに乗ってしばらくしたら、道の左側のやぶの中にキリンが一頭いるのが見えた。一瞬ここはどこだと自分がいる場所を疑ってしまったが、すぐにそうだここはアフリカだと納得した。このところダル・エス・サラーム、ザンジバル、モンバサ、ラムという、スワヒリとイスラムとインドの文化が混ざりあった世界を旅していて、チャイにチャパティ、モスクからのアザーン(お祈りを呼びかける声)等に囲まれていて忘れかけていたが、ここはまぎれもなくアフリカなのだ。

バスの中の人があまりに普通にしているので、もしかしたら僕はまぼろしを見たのではないかという気がして、「ジラーフ!」と隣の人に、独り言でしたと言えるぐらいの大きくない声で、声を掛けるともなく掛け、車内をもう一度見渡すと近くにいた女の子が母親に「ジラフ」と言っていたので少しほっとした。

タンザニアのTAZARA鉄道に乗った時は予め列車が国立公園を通ることを知っていて、同じコンパートメントの人たちと窓にしがみついてキリンやシマウマやイボイノシシやアンテロープ類などをたくさん見たのだが、それよりも今回のキリンは全くの予想外でうれしかった。たった一頭だけいたそのキリンは、体の模様が網目のアミメキリンだった。何故かそれが強く印象に残っている。