勝手ガイド対処法

ロッコのタンジェで「カフェ・ハファ」というカフェに行こうとしていると、モロッコ人に「ヘイ、ジャーパン!」と声を掛けられ、「カフェ・ハファに行くのか?」と聞かれ、こっちが近道だと勝手に案内をはじめられた。まあどうせ途中で絨毯屋に連れて行かれるか、最後にお金をせびられるかどっちかだと思ったが、そのままほっとくことにし、案内されるがままに、その男について行った。

途中海が見える景色がいい場所に立ち寄りつつ、その男はちゃんと僕をカフェ・ハファまで案内した。その男もテーブルに着いてミントティを奢らされても困るから、早々に「ありがとう。さよなら」と言うと、その男は何かくれという。「ノー」と言うと、1日こうして案内してガイドしたのだから金を払えと言う。1日じゃないだろ、せいぜい30分だろと思いつつそこは突っ込まず「ノー。頼んでない」を繰り返していたら「ファック・ユー」、「カフェの外で待ってるからな。お前を殺すために。」と言われた。

本性を現しやがったな。善人の振りをしやがって。

カフェ・ハファは海辺の丘の上にあり、海に向かって段々にテーブルが並ぶ気持ちいいカフェだった。隣のテーブルではモロッコ人がおいしそうに煙を吸っている。

海を見ながらミントティを飲みつつ考えた。今のモロッコ人のように頼んでもないガイドをはじめて後でお金を要求する奴に遭った場合、相手の作戦を逆手にとり、案内させるだけさせといて、ハイさようならという対処の仕方をするのはもうやめようと思う。やっぱ「ファック・ユー」とか「キル・ユー」とか言われるのは気分のいいものではない。

4年前インドでやはり勝手に道を案内してくれたストリート・チャイルドに1ルピーくれと言われて、「ノー」と言うと、その子供に「ファック・ユー。サノバ・ビッチ。ファック・ユア・マザー。バーカ」と言われたことを思い出した。その時僕は「バカって言う奴がバカなんだよ」と日本語で、子供相手に半ギレで答えた。

ミントティを1杯飲んで、おそるおそるカフェを出てみたが、その男は見当たらなかった。行きに通った道のどこかで待ち伏せしてるかもしれないと思い、行きとは違う道で帰り、無事宿の近くまでたどり着けた。まあはったりだとは思ったけど、その男は筋肉は隆々で、腕にやたら傷があり、襲われたら勝ち目はないな、ビーサンを履いてるから走って逃げられるかもわかんないし、と思っていたのでほっとした。実は本当にカフェの外で奴が待ってたら、厄介なので5DH(約70円)渡して追い払おうと思っていた。(つまり、この場合奴の勝ち。)

この反省を活かし、次から似たような奴が現れたら、案内をはじめてしばらく経った時点で「なぜあなたはそんなに親切なんですか? 僕はお金を払いませんよ」と言うことにしよう。性格のねじ曲がった糞野郎対策だ。