スペイン行きの機内にて(その2)

前の会社の同僚に、飛行機の機内食で「チキン・オア・フィッシュ?」とスチュワーデスにきかれた時に「アイ・アム・チキン」と言うと大爆笑だよ、という話を聞いたことがある。

エアマドリッドというスペインの航空会社のマドリッド行きの機内で、食後にスチュワーデスが「カフェ・オ・テ? キエレ?(コーヒーか紅茶はいかがですか?)」と言いながら座席をまわっているのを見てこの話を思い出し、このスペイン語版を思いついた。

「カフェ・オ・テ? キエレ?」ときかれて「キエロ・テ」と言うと「紅茶が欲しい」という正しいスペイン語になるが、「テ・キエーロ」と言うと「あなたを愛しています」という(こちらも正しい)スペイン語になる。少し年配のおばちゃんスチュワーデスに言えば間違いなくうけるだろう。

早速実践してみようと思ったが、紅茶片手にやってくるスチュワーデスは若くてとてもキレイな人だった。どうしよう。「テ・キエーロ」なんて言っても冷たくあしらわれてしまいそうだ。でもタイミングさえ間違わなければ、近くの乗客の笑いを誘うことはできるのではないか。そうこう考えてるうちに、どんどんスチュワーデスは近づいてくる。「カフェ・オ・テ? キエレ?」 最初は気がつかない振りをして、スチュワーデスが通り過ぎようとした時に、あわてて振り返り、やや大きめな声で「テ・キエーロ」と言う。このタイミングだ。と思い呼吸を整えた。

「カフェ・オ・テ? キエレ?」 スチュワーデスはもう目の前だ。そして通り過ぎようとした瞬間「今だ」と思ったが、やっぱ恥ずかしくて言えなかった。

誰かスペイン語圏の飛行機に乗る機会があれば、チキンな僕に代わって試してみて下さい。